【あなたの選んだ企業は大丈夫?財務指標分析が理解できれば人生の選択を良好にできる】

【あなたの選んだ企業は大丈夫?財務指標分析が理解できれば人生の選択を良好にできる】

 前回の記事は財務諸表について記事をまとめました。今回はその財務三表を用いてその企業が収益をしっかり生んでいて利益を生む企業であるのかを判断する為の分析方法について解説していきます。

 本記事を読む事で、企業の状態を分析できますし、株式投資を行っている方は優良企業を選択していく事ができ、またサラリーマンで現在の会社から転職を考えている人にとっては、現在勤めている会社の将来の先行きは明るいのか、もしくは危機敵状況なのか、はたまた転職を検討している先である企業の将来の先行きについても予測できる様になります。

 この知識を取得するだけで、勤めている企業が突然倒産するリスクやリストラに合う確率を抑える事ができますので、あなたの人生にとっても優良な情報になるのではないでしょうか。

今回の記事を読む前に前回の記事を読む事をお勧めします。

  • 【目次】
  • 財務指標分析で把握できる4つの情報
  • 分析とは? 具体的な考え方と方法
  • PLから分析できる『成長性』
  • PLから分析できる『収益性』
  • PLとBSから分析できる『効率性』
  • PLとBSから分析できる『安全性』
  • まとめ

【財務指標分析で把握できる4つの情報】

 それでは本題に入っていきます。今回は前回の記事で触れたPLとBSを使って企業の財務状況を分析していく具体的な方法を見ていきます。

 PLやBSを使って分析をすると、その企業の財務状況のどの様な事を把握できると思いますか?

 PLやBSを用いて把握できる事柄は大きく下記の4つになります。

◆成長性   ◆収益性   ◆効率性   ◆安全性

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【分析とは?具体的な考え方と方法】
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 分析と聞くと難しいイメージを持つ方が多いと思います。また、分析を行うと言っても具体的に何をどうすれば良いか分からない人も多くいると思います。

 これは財務指標分析だけの話ではなく、仕事でも使う事ができる方法です。もし仕事で、このデータを分析しといてと上司に言われた場合にこの考え方を活用して見て下さい。驚くほどスムーズに分析できる様になりますしデータ分析が楽しくなる事でしょう。

 分析をするに当たって最も有効な方法は、そのデータに対し縦軸と横軸の双方で比べる事です。

 企業の財務指標分析で具体的に考える場合は、

1.縦軸:その企業の過去(年単位)で比較する 

2.横軸:同業他社・業界平均と比較する 

(※同業他社と比べる場合は規模感を揃える事をお勧めします。)となります。

 この様に、過去や同業他社と比較する事でその企業の財務状況や今後の見通し、ターニングポイントなどを分析によって把握する事ができ、株式投資やM&A、転職時など様々なタイミングで判断基準を自分で考えられる様になります。

 それでは本題に戻して、財務指標分析で把握できる4つの事柄(成長性・収益性・効率性・安全性)を理解すると何が良いかについて掘り下げていきます。

【PLから分析できる『成長性』】

 成長性はその企業が過去に対してどれだけ売上や利益を拡大できているのか、はたまた縮小や弱体化しているかを意味します。

 その企業が過去に比べてどれ位業績を増やせているのか、また市場の拡大や縮小に対してどの様に変化していっているのかを比較する事でその企業の成長の動向が理解できます。

 この成長性を判断するにはPL(損益計算書)を見て分析します。PLで各項目の値がどのくらいの比率で増えたかを比較する事で把握する事ができます。例えば画像内容のPLの企業の場合成長率はどうなるでしょうか。

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 計算式は下記になります。

成長率(%)=当年度-前年度/前年度×100

 この様に成長率を出す事で、大きく増加した箇所や大きく落ち込んでしまった箇所に着目し、調べていく事でその企業の動きや背景を調べて予測やシナリオを立てる事ができます。

 例えば、上記画像の数字推移の場合で、成長性の分析を行う場合、2019年度に研究費(+15%)・人件費(+14%)と比較的上がっている事が分かります。

 この場合に考える事ができる仮説(シナリオ)は、

・その企業は売上拡大に伴い従業員を増加させている

・かつ新製品や新技術の開発や研究に対し資本を投入しているのではないか?

となります。

【PLから分析できる『収益性』】

 収益性とはその企業の収益がどの様に増減しているかについての推移です。

 分析する場合は、●●利益率(%)=●●利益/売上高×100で数値化できます。

 成長性で見た表を収益性の視点からも考えてみます。

 例えば、上記画像内の表のように粗利率は毎年増加しているのに対し、営業利益率・純利益率は年々少しづつ減少している場合の仮説(シナリオ)を考えて見ます。

・製造コストは抑えられるようになった

・販管費が高くなった

 成長性、収益性両方を分析する事で、比較的拡大に積極的な、前向きな将来に対し見通しが良い会社であるのではないか?という仮説(シナリオ)を立てることができます。

 この様に、分析を行った上で自分なりのシナリオを基に情報収集をしていく事でその企業の今後の動向を大外れする事なく予測する事ができるのです。

 これらを判断する場合に注意すべき事は、企業が打ち出したマニュフェストや公約などと成長率や収益率が相違があるかどうかです。

 例えば昨年や一昨年などに広告費を多くとっていたにも関わらず、急に大きくマイナスしている場合(研究費や人材の獲得などが増えておらず)は、他に投資する先が見つかったり、将来の減益の見込みが立っている場合などを考える事ができるのです。

 即ち、その企業にとってのその成長性や収益性が計画的かどうかを見ていく事がとても重要になります。

【PLとBSから分析できる『効率性』】

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 効率性を求める場合はPLとBSを使って分析します。効率性とはその企業がどれだけ効率的に利益を上げる事ができているかを表します。

効率性を判断するには3つ期間の判断基準が必要となります。

①売掛金回転期間:商品を販売してから現金を回収するまでの期間

=売掛金÷(売上高÷365日)

②棚卸資産回転期間:材料を仕入れてから商品にして販売するまでの期間

=棚卸資産÷(原価÷365日)

③買掛金回転期間:材料を仕入れてから支払うまでの期間

=買掛金÷(原価÷365日)

 この効率性が良い企業の判断の方法は、買掛金回転期間が長く、売掛金回転期間が短い企業です。

 このような企業は、会社内にお金を多く残している為交渉力の強い会社と市場では認識されやすく、大手会社に多いのが特徴です。

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 ≪資金の効率性を図る指標CCC(キャッシュコンバージョンサイクルとは)≫

 資金の効率性を図るのに重要な指標としてCCCというものがあります。材料を仕入れてからを販売して現金を回収するまでにはほとんどの場合、タイムラグが発生します。このタイムラグをCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)と言います。

 イメージとしては、企業が自社製品を作って売って、現金を回収するまでには、

1.材料の仕入れ   ➡

2.材料を自社に在庫 ➡

3.材料を加工    ➡

4.製品完成     ➡

5.製品を在庫    ➡

6.販売(出荷)   ➡

7.現金回収     ➡︎

8.①に戻る 繰り返し

 と言う流れが存在します。

 材料の仕入れに使っているお金は当然、自社製品が完成して販売完了しその売り上げを回収する前に払います。

 この材料を仕入れてから支払うまでの期間(買掛金回転期間)から現金回収までの期間の長さをCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)と言います。お金を立て替えている期間というイメージです。

 一般的にこのCCCは短ければ短いほどビジネスの効率が良い優良企業とされます。

 CCCを短くする為には、

 ①在庫の削減 ②回収を早くする ③支払いを遅く する事が挙げられます。仕入れの支払いは遅く、売り上げの回収は早くする事が重要になります。

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【PLとBSで分析できる『安全性』】

 企業の経営の安全性とは、継続的に経営ができる状況であるかの事を指します。

 安全性分析のために用いられる指標のうち代表的な5つの指標があります。

①流動性比率

 一年間にどのくらいお金が入ってきて、どのくらいお金を払うかという比率の事です。100以上である事が必須であり、120%あれば良好とされています。

流動性比率=流動性資産÷流動性負債

②負債比率

 企業の負債の比率の事です。負債比率が大きいと上場企業の場合社債のランクが下がる為、低くしたい企業が多いのが現状です。社債のランクが下がると資金調達のコストが高くなるのがその理由です。

負債比率=借入÷(借入+純資産)

③自己資本比率:

 自己資本比率とは、負債および純資産の合計額(総資本)に占める純資産の割合のことで、自己資本比率が低いと借入金などの負債が多いということになり、自己資本比率が高ければ、自己資本が多い、つまり返済義務のないお金を潤沢に持っているということになるので「中長期的に見て倒産しにくい会社」ということが分かります。

自己資本比率=純資産÷(借入+純資産)

④運転資本(WC)

 企業を運営するのにどのくらいのお金がかかっているかの事です。もう少し詳しく説明すると、運転資本とは入金と出金のズレを補うための資金の事です。運転資本がプラスならば、その分だけ借入金が必要になります。運転資本は、短期的な出金(キャッシュアウトフロー)と入金(キャッシュインフロー)のズレを補うための資金の事です。

 現代のビジネスは、現金決済されることが少なく、ほとんどが信用取引で成り立っています。かつ、仕入れた製品はすぐに販売できるわけではなく、在庫として動かない期間があり、売れても代金が決済されるまでの期間はキャッシュが入ってきません。

 このような事情により、入金より出金が先行する場合があり、それを補うための資金が必要です。それが運転資本であり、主な調達手段は借入金です。

運転資本WC=売掛金+棚卸-買掛金

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  運転資本(WC)の判断方法

・『安全性が低い』運転資本がプラス

 WCがプラスの場合、売上債権の回収に比べ、仕入債務の支払が前倒しになっている状態です。この場合、つなぎ資金が必要な状況と判断できます。運転資本が増加すると利益が計上されていても資金がショートして、黒字倒産を起こす場合があります。

・『安全性が高い』→運転資本がマイナス

 WCがマイナスの場合、売上債権の回収に比べ、仕入債務の支払が遅くなっている状態です。この場合資金繰りに余裕があると判断できます。売上が伸びている条件下においては、運転資本が少ないほうが資金繰りが楽になる為安全性が高いです。その反面、売上が減少しはじめると一気にキャッシュ不足に陥る可能性もあります。

⑤ROE(自己資本利益率)

 自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す数字です。つまり、ROEは自己資本を使ってどれだけ利益を生み出したかを表す指標であり、収益性、効率性、財務レバレッジの全てを考慮した値です。

 多く投資家は株式投資の銘柄選定においてROEを考慮します。

         ROE=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

       =売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

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 一般的には、自己資本利益率が10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。

 もしあなたが会社経営者で、ROEを改善したい場合には

①「売上高純利益率を上げる」

②「総資産回転率を上げる」

③「財務レバレッジを上げる」

という3つの方法を考えれば改善できます。

【まとめ】

 以上が、企業の財務状況を把握する方法になります。是非前回の記事と一緒に勉強して実際に使って見てください。あなたの会社が自分が予想している以上に良い会社もしくは悪い会社である可能性は意外と高いので実際に把握する事をお勧めします。

 また、これらの知識を使って個別株式投資を始めてみるのも、とても勉強になるのでお勧めします。サラリーマンで財務知識がある人材は恐らく10%未満でしょう。あなたはこの記事をマスターするだけで、サラリーマン界の上位10%になれるかもしれません。

 次回は実際に使える銘柄選定の為の指標についての記事を書いていきます。

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