日本の株式市場の株価の値動きを大きく左右させるのが、機関投資家やヘッジファンドの取引です。機関投資家の取引額は個人投資家の扱う金額の比ではありません。日本の中規模な市場は良く、機関投資家の空売りや利確の波に耐えきれず大きく売り崩されて、株価が暴落する事もあります。
それだけ機関投資家やヘッジファンドの動きは株式投資をやる上で無視できないものになのです。
まず大前提として、株価は基本的には買いたい人(需要)と売りたい人(供給)のバランスによって決まります。 つまり、需要である「買い」が供給である「売り」より多ければ株価が上がり、供給(売り)が需要(買い)を上回れば株価は下がります。

株の需要と供給の接点が均衡点となり、その価格が株価となる訳です。
そしてその需要と供給を大きく動かすのが機関投資家やヘッジファンドです。即ち、裏を返せばヘッジファンドや機関投資家の動きについて理解を深める事ができれば株価の動きを少なからず予測する事が可能となるのです。
本日は一般の人があまり知らない機関投資家についてと、機関投資家の取引を利用し利益を上げる方法について紹介します。
■目次
- 機関投資家とは
- 機関投資家の投資対象
- 機関投資家の売買を個人投資家が利用する方法
- まとめ
【機関投資家とは】

◆機関投資家とは
株式市場に大きな影響力を持つ機関投資家とは、株式や債券に投資する大口投資家であり、個人投資家ではなく法人投資家のことを指します。主な機関投資家には銀行・証券会社・保険会社等の金融機関、政府機関などです。
また、あまり知られていない意外なところでは「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」や近年では国策としてETFを定期的にも買い上げている我が国日本の中央銀行も機関投資家に含まれます。
機関投資家は当然、日本のみならず海外にも存在しており、海外の機関投資家の規模は日本のそれを凌駕します。ちなみにですが、中央銀行で国内ETFを定期的に購入し保有しているのは日本のみです。
◆機関投資家の運用資金はどこから来ているか?
機関投資家が運用するお金はどこから来ているのでしょうか。その答えは、顧客から預かった資産です。
私達の銀行預金は必ず利子がついて元本が保証されている為、減る事はありません。しかしその利子の中身を詳しく見ると、私たちが銀行に預けたお金を銀行が金融市場で運用し得た利益から還元されています。
また、生命保険・損害保険会社も同様です。保険料として顧客が支払っているお金を株式市場で運用しているのです。
そして彼らは契約者からお金を預かって株式市場で運用する事で増やして顧客に還元するという仕組みを取っています。顧客の預かり金を「元本プラスα」で返すために、常に運用をしているのです。
また、私たちが税金として納めている年金も運用されています。それを運用しているのが「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。国内株式だけでを47兆3933億円を運用しています。

このGPIFの運用方法は近年、よりアクティブになっている傾向があり、リスクを取って運用益を狙うポートフォリオになっています。
この様な機関投資家の運用資金の源は私たち個人から集めた物であり、それらをまとめて運用する為、莫大な金額になり、株価を動かしうる強大な力になっているです。
◆損失が許されない機関投資家の運用
よく言われる機関投資家の特徴は「損失を出さない運用」です。機関投資家は多くの人から集めた資金を運用しているため、その資金は預金や保険、年金など将来必ず顧客に返さないといけないものです。
この様な背景がある為、原則として機関投資家は相場環境に関わらず損失を出すことが認められていません。
そうはいっても2008年のリーマンショックやその後の世界金融危機のような場面ではどのような運用でも損失を出すことが避けられないため、損失が確定すると大きなニュースとなり、株式市場に不安が広がります。
◆株価に大きな影響を及ぼす
機関投資家のように多額の資金を動かしたすると市場はどうなるでしょう?機関投資家が投資をすると、出来高に機関投資家が株式の売買をしたことがはっきり現れます。
その企業に関するニュースがないのに出来高が増えたら、機関投資家が動いている可能性が考えられます。

上記はキーエンスの株価チャートとその出来高になります。チャートの下部の出来高が、通常より高い箇所はおおよそ機関投資家やヘッジファンドが取引に参加したタイミングであると言えます。
◆めったに取引をしない
また、機関投資家の運用は「細かく売買を繰り返さない」という特徴があります。(※ヘッジファンド等、一部例外もあります。)
損失を出せない資産を運用しているので、十分に調査を重ねた上で売買をします。個人のデイトレーダーのように、高頻度の売買をすることはほとんどありません。
【機関投資家の投資対象】
◆機関投資家の投資対象
機関投資家の投資対象は、発行株数が多く取引高の大きい「大型株」であることがほとんどです。なぜなら、売買が成立しやすいためです。もし発行株数が比較的少ない「中型株」「小型株」に投資すると、売買したい時に取引が成立しない可能性もあります。
機関投資家が運用する額が大きすぎる為、時価総額の小さな小型株を取引しようとした場合指値が滑ってしまい、欲しい価格で買えないという現象が起こる為小型株は取引はほとんどしません。
◆大型株やETFへ分散投資
機関投資家がどのような銘柄を選ぶかといえば、時価総額の大きな銘柄やETF(上場投資信託)などへの分散投資が基本になります。
資金量が莫大なため、中小型株では株価への影響が大きくなります。また、市場平均の運用成績を目指すには、浅く広く分散投資する必要があります。そこで、自動的に分散投資をしてくれるETFを選ぶわけです。
前述したとおり、日本銀行もETFを現在大量に購入しており、その保有額は総額は31兆1738億円(時価)になっていると言われています。
この日銀のETFの購入を通じて、日本銀行が「大株主」になっている日経企業が出現しており、発行株式の23.4%を持つアドバンテストを筆頭に、「ユニクロ」のファーストリテイリング(保有シェア19.6%)、TDK(19.0%)などが挙げられます。
また10%以上の株式を保有する企業の数は56社に登ると言われており、筆頭株主が中央銀行である日銀の企業が存在しています。

【機関投資家の売買を個人投資家が利用する方法】
◆経済ニュースで機関投資家の動向に出た銘柄をチェックする
機関投資家の売買を個人投資家にも生かす方法ですが、まず経済ニュースで機関投資家がどの銘柄を買っているかをチェックしてみる事をお勧めします。先程の日本銀行が隠れた大株主の企業であるという情報も当然このニュースの一部です。
投資の専門家である機関投資家が厳選して売買している銘柄は、言い換えれば株価が上昇する可能性が高いとプロが判断した銘柄とも言えるのです。
株式投資の初心者は機関投資家が売買する大型株から投資をはじめてみるのも良いかもしれません。
◆テーマ型ファンドをフォローし企業分析を行う
経済ニュースはあまりチェックしないけど機関投資家の動きを知りたいという人は、投資信託を見てみるのもお勧めです。「成長株ファンド」などテーマ性がある投資信託を参考にする事で成長しやすい銘柄を見つけることも可能です。
例えば下記銘柄はOne-DIAM成長株オープンという投資信託です。

着目すべきは資産構成という情報で、ここにはそのファンドを占める上位10銘柄がどの位の比率で運用しているかが分かる情報となっています。

投資信託は様々なジャンルがあります。自分が投資したいジャンルの投資信託から、この様に銘柄をピックアップし銘柄選定をするという方法を私は使っています。
◆指数に採用される銘柄に乗る
機関投資家の中には、日経平均株価やTOPIXなどの指数(インデックス)に採用されている銘柄のみを購入する、などの投資方針を公開している所も少なくありません。また、ETFを購入すれば、その指数自体を買っている事になります。
そこで、そうした指数に採用される銘柄に注目して、機関投資家の買いに〝便乗〟することができます。例えば、新たに日経平均株価に採用される銘柄があれば、機関投資家から買いが入ることが予想され、一般投資家の注目も集まりやすくなります。
少し前に話題になったのが2020年11月16日に発表されたテスラ株のS&P500の採用です。

S&P500採用発表時から株価はより上昇し、最高値時では約2倍まで株価が上昇しました。
【まとめ】
機関投資家の動きで株価が大きく動くこともあります。毎日株価チェックをする中で「どうして株価が上がった(下がった)のか分からない時は機関投資家の売買状況も確認してみてください。
また、何に投資していいのか分からないという場合も機関投資家の動きを追ってみることをおすすめします。次回はその具体的な方法についてより詳しく記事を作成します。
今回の記事が為になった方はイイねとSNSのフォローをよろしくお願いいたします。
ではまた次回!
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