働いても働いても全く豊かにならない、そんな感覚を覚えた事はありませんか?もしそのような感覚をあなたが持っているとしたら、あなたはとても頭の良い感覚に優れた方です。
この感覚は紛れもない事実です。
特に現在サラリーマンの労働収入のみしか収入の柱がない人にとっては、紛れもないこのような厳しい現実がこの世界にはあります。この原因こそが今回ご紹介する『r>gの法則』という現代社会の法則なのです。
本日はどれだけ一生懸命働いても豊かにならない、会社や社会に不満を持っているサラリーマンや個人事業主の方に必ず知っておいて欲しい内容です。
この記事を見る事で、会社との付き合い方、この資本主義の生き方や対峙の方法を考え直すきっかけに必ずなる事でしょう。
■目次
- ①『r>g』の法則とは
- ②実体経済とマネー経済
- ③:r>gを裏付ける名目GDPとマネーストック
- ④「r>g」資本収益率>経済成長率が示す資本主義の本質
- ⑤労働者が「r>g」を活かす方法
【第一章-①:『r>g』の法則とは】

皆さんは「r>g」という不等式を聞いた事はあるでしょうか。これは現代の資本主義経済と金融体制によって得られてきたデータを表した法則です。
今回は、この不等式の意味と、この不等式を私たちがどのように活かすべきかを考えていきます。
■格差の拡大と「r>g」の法則
この「r>g」の法則とは、トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』で主張した、「資本主義の富の不均衡は放置しておいても解決できずに格差は広がり続ける。格差の解消のために、なんらかの干渉を必要とする」というものに対し、根拠として述べた法則の事です。
資本主義は進めば進むほど、格差は拡大していく事に警鐘を鳴らしていたのがトマ・ピケティ氏です。
実際に、コロナウイルスの感染拡大の影響で世界の富裕層と貧困層の格差が広がったことが報道されています。世界の上位1%の超富裕層の資産は2021年、世界全体の個人資産の37.8%を占め、下位50%の資産は全体の2%にとどまっているとされています。
特に最上位の2750人だけで3.5%に当たる13兆ドル(約1500兆円)超を占めており。上位10%では全体の75.6%を占めているとされています。このように格差拡大は広がっているのは揺るぎない事実なのです。
■「r>g」の法則とは
この「r>g」という不等式は一体なんなのでしょうか。分かりやすく解説していきます。
その『21世紀の資本』という本では、『r』は資本収益率を示し、『g』は経済成長率を示しています。
■『r』:資本収益率とは
『r』で示される資本収益率とは、資本(不動産屋、株式といった資を新たに生み出す事ができる資産)が、その運用によってもたらす利益 (投資に対するリターン)が何%であるかの事です。
例えば、個別株を100万円分を購入し、1年後に120万円になった場合、資本収益率は20%となります。これが資本を投資する事によって得られるリターンが『r』なのです。
■『g』:経済成長率とは
『g』で示される経済成長率は、世界やその国の一定期間において、国の経済規模がどれだけ増えたかを示す割合の事をいいます。現代社会において、一般的には国内総生産(GDP)の増加率を指標とします。
同書では、18世紀まで遡って過去のデータを分析した結果、「r」の資本収益率が年に5%程度であった事に対し、「g」は1~2%程度しかなかったと記述しています。
これらの前提条件から、「r>g」(資本収益率>経済成長率)という不等式が成り立つとしています。
簡単にまとめてしまえば、必死に現実世界で働いている人よりも、投資をしている人の方が収入(資産)を増やしていく事ができる世の中であるという事なのです。
【第1章②:マネー経済と実体経済】
なぜこのような事が起こるのでしょうか。その理由は経済活動の変化やテクノロジーの変化時代の変化が挙げられると私は考えています。
現代社会の経済には大きく分けて実体経済とマネー経済という概念があります。
□実体経済(じったいけいざい、real economy)とは、経済システムのうち消費財や投資財の生産・分配に関わる部分のことを言います。実体経済から派生する資産経済などは含まなず、特に財市場と労働市場に関わるものを指します。
実体経済の対義語がマネー経済です。
□マネー経済(マネーけいざい)とは、商品との交換ではなく(モノやサービスなどを手にすることなく)、高度・複雑に商品化・有価証券化等された金融資産(マネー自体)とマネー(貨幣・通貨・お金)が交換され(投資が行われ)、実物とのつながりが切れたマネーだけが動く経済を言います。
このマネー経済はテクノロジーの進化でどんどんと拡大しています。その基本的原因は、国内的には金本位制をやめて管理通貨制に移行したことと、国際的には変動為替相場制に移行した点にあると言われています。
インターネットが普及していない以前は実体経済の取引がメインでしたが、現在では個人が好き勝手にインターネット場で投資を行えるようになった事もマネー経済の拡大に繋がっているのです。
【第1章③:r>gを裏付ける名目GDPとマネーストック】
この「r>g」(資本収益率>経済成長率)を裏付けることのできる実際のデータがあります。下のグラフは日本の名目GDPとマネーストック を比較しその推移をグラフにしたものです。
・マネーストックとは経済全体に供給されている通貨の総量」のことです。(実体経済+マネー経済)
・名目GDP:国内で生産されたモノやサービスの付加価値を表す国内総生産のことです。(実体経済の取引額の総量)
日本における二つのデータの推移を見て下さい。

1970年から199年代後半までは、マネーストックと名目GDPの乖離が殆ど無く同じように増加をしています。
しかし2000年辺りから、その乖離は益々大きくなっています。ネット上での資産を投資し運用することで生まれている利益が個人も民間も公の機関も増えた事が、少なからず関係しているとも言えるのではないでしょうか。(厳密には多くの要因が複数絡み合っていますが)
実際のところ統計では、1980年代まではお金のやりとりの大部分が実物経済のもの(実物経済:マネー経済=9:1)でしたが、現在ではこれらの関係は大逆転し、マネー経済が世界のお金の流れの9割以上を占めてると言われています。
これらの事から、投資をネット上で誰でも行えるようになり投資人口が増え続けている現在、『r>g』と言う法則は過去に比べても急速に加速していく事が推測できると私は考えているのです。
【④「r>g」資本収益率>経済成長率が示す資本主義の本質】

ここまででこの『r>g』がどのような法則であるのかがわかったと思います。それではこの不等式が意味をする本質はなんでしょうか。
簡単に本質をお伝えするのであれば、資産 (資本) によって得られる富、つまり資産運用により得られる富は、労働によって得られる富(労働者の給与所得)よりも成長が格段に早いという事です。
お金にお金を産ませている人の方が、労働により給料をもらっている人に比べ、圧倒的に富を増加させる事ができるのです。つまり、結論として、お金を生み出せる力という観点で見ると『投資家>労働者』という構図になるのです。
また、このことの裏を返せば「裕福な人 (資産を持っている人) はより裕福になり、労働でしか富を得られない人は相対的にいつまでも裕福になれない」という事につながります。
富裕層の資産は子どもに相続され、その子がさらに資産運用で富を得続け増やし続けることができる世界であると言う事でもあります。
もちろん私たちが払っている、税金の本来の目的はこのような格差を是正する最も有効な手でありますし、それ以外でも各国で所得再分配政策は行われてはいます。しかしながら、ピケティは、多くの富が世襲されており、今もなお格差は現在も拡大に向かっているのは紛れもない事実としています。
少し前のバブル期までの日本は、中産階級が占める割合が世界的に見ても高い国でした。しかし近年は格差の広がりに反比例して、中産階級が着々と減少しているのが事実であり、富を持つ者と富を持たざる者とでの格差は今後益々開いていく事は誰は周知の事実です。
【⑤労働者が「r>g」を活かす方法】

労働者はこの紛れもない現実をどのように受け止め改善していくのが良いのでしょうか。資本主義の中で生きる私たち(特にサラリーマン)は、この「r>g」という現実の中で何かしらの手を打たなければ、一生お金に縛られる人生からは抜け出せられない事は間違いありません。
■サラリーマンが『r』側に周る方法
すでに大きな資産を運用して「r>g」の「r」の側に立っている人は問題ない。問題は、資産家ではない一般的なビジネスパーソンです。単純に考えれば、資産運用を開始すればいいという事になります。
資産運用の中でも特におすすめなのが不動産投資や株式投資です。
原資がない一般的なビジネスパーソンは、できるだけ早くから資産運用するための原資作りを始めるべきです。給料の一部を預貯金したり、サイドビジネスで得られた収入を投資に回すこともとても有効な策です。
お金を手元に残す方法はとても単純であり、一つしか方法はありません。
”収入を増やし、支出を抑えるのです”
しかし、現在の収入では資産運用の原資を蓄積するには足りないという人もいると思います。何を隠そう私もサラリーマンの労働収入のみに頼っておりましたし、何もスキルがないところからスタートさせています。
ですので、まずは自己投資を行いお金を稼ぐスキルを身に付ける事をお勧めします。まず、自分自身が資産だと認識し、その資産を強靭なものする為の自己投資をしそれをアウトプットし続けるのです。
自分自身の資産価値を高める事さえできれば、社内でより給料の高いポジションを任される人材になるであろうし、そのスキルを生かして副業を行う事で、本業以外の収入源を持つこともできます。
場合によっては、その副業が軌道に乗れば、自ら起業し、ビジネスオーナーになる事もあります。
いづれにせよ、どのようなスタイルであれ収入を増やし、支出を抑え、残った資金を投資に回していき、資産から収益を得るための最初の一歩を踏み出すことが重要です。
現代社会の労働者にはメリットもたくさんあります。ノーリスクでその会社のノウハウが使えたり、今の会社の看板を背負っている為、自分よりも格上の人間ともビジネスが行いやすかったり、人間関係を構築しやすかったり、収入に保証があるのも立派なメリットです。
自分がどうなりたいのかと言うビジョンを持ち、そのビジョンや目標に対し現時点の自分には何が足らないのかを考えて、足りないものを獲得していけばいいのです。
まず自分は不完全な人間である事を自覚し、足りないものを補いましょう。それに気づくのは早ければ早い方がいいですよ。
あなたはこの記事を読んだ事で気付きましたよね?あとは行動に移すだけです。
次の章では投資の世界に飛び込む際に知っておくべき知識についてお伝えします。ではまた。