【第三章】現代のお金の本質『信用創造』

【第三章】現代のお金の本質『信用創造』

前章では現在の通貨体制がどのような物であるか、またその体制となった経緯について歴史を交えて詳しく触れていきました。

今回の章では、現在のお金についての本質について考えていきます。この章を学ぶ事で現在使っているお金の正体の本質ついて理解する事ができます。

現在の貨幣は言わば価値の裏付けがないお金です。二国間の通貨の需要と供給の関係次第で為替レートは変動します。つまりお金を生み出し、供給量を増やす事ができれば自国通貨安に誘導ができますし、供給量を減らす事ができれば自国通過高にも誘導ができるのです。

この章では通過の供給量はどのように増えていくのか、お金が市場に新たに生み出される本質をお伝えします。

この知識は、学校では絶対に学ぶ事のない知識になります。

私はこの知識を得る事で、本質が理解でき投資家としての実績も激変しました。私が投資で勝てるようになる切っ掛けとなった、とても重要なお金の知識である『お金が生み出される仕組み』について、またそれを用いた最強手法を教えていきます。

 ■目次

  • お金とは(貨幣と紙幣)
  • 信用創造(預金からお金を無限に生み出す方法)
  • 信用創造の具体例
  • 信用創造が無い世界はどうなるか
  • 信用創造は偶然の産物
  • 借金は誰がするのか
  • 信用創造を利用した最強投資手法

 

【お金とは(貨幣と紙幣)】

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 私たちが毎日使うお金ですが、お金と言っても現代社会では様々なお金と同じような物が存在します。

まず、一般的に「お金(通貨)」には紙幣と貨幣があることはご存知かと思います。そして、このお金は毎年新しいお金が発行されていることも何となく認識しているのないでしょうか。

 近年では、テクノロジーの進化もあり、電子マネーや仮想通貨、各社が発行している楽天ポイントやTポイント等様々なお金によく似た性質を持つ物も増えています。

 なので今回は、「お金の機能を有するもの」を「お金」と呼ぶ、すなわち機能面に着目して「お金」を定義してみて話を進めていきます。

 それでは、改めてお金の機能を考えてみます。

 経済学の教科書によれば、お金には「決済」「価値保蔵」「価値尺度」の3つの機能があるといわれています。

この3つの機能のうち、経済の営みにとって最も重要なのは、「決済」即ち「交換」手段としての機能です。この考え方に基づけば、「お金」とは「決済手段としての機能をもつ金融資産」ということになります。

 こうした機能をもつ金融資産は、中央銀行(日本であれば日本銀行、米国であればFRB)または政府によって発行されたものと、民間金融機関によって発行されたものに分かれます。

 少し専門的になりますが、経済学では、前者の国が信用(価値)を担保しているものは「外部貨幣」、後者は「内部貨幣」と呼ばれています。

◆外部貨幣:「日本銀行券(紙幣)」と「貨幣(硬貨)」の2種類

具体例:中央銀行の負債である銀行券や中央銀行当座預金(中央銀行貨幣)が含まれまれる

◆内部貨幣:貨幣のうち民間部門の発行する債務が決済機能を果たすようになったもの

具体例:民間銀行の負債である預金や、民間部門の発行する借用証、手形、小切手、債券などが含まれる

このように、お金は大きく2種類に分かれます。それぞれのお金について、もう少し詳しく見ていきましょう。

1)日本銀行券―発行主体は日本銀行

 日本には中央銀行として政府から独立した「日本銀行」があり、その日本銀行が「日本銀行券」を発行しています。この日本銀行券は、独立行政法人国立印刷局が製造した後、日本銀行が製造費用を支払って引き取ります。

 この段階では、銀行券は「モノ」として取り扱われます。まだお金の機能はない状態です。

 その後、金融機関が日本銀行に保有している当座預金を引き出し、日本銀行の窓口から銀行券を民間の金融機関が受け取ることによって世の中にお金の機能を持ったとして生み出されます。

 日本では銀行券に対する需要が強く、銀行券平均発行高の対名目GDP比率をみると、他の先進国と比較して、従来から高い水準にあるといわれています。その背景としては、

①決済に現金が好んで使われる社会環

②良好な治安環境

③ATM等の普及による現金を入手しやすい経済環境

④偽造が少ないことによる銀行券への信認の高さ

 が挙げられます。海外では偽札が横行しすぎて現金で支払いをされる事が嫌がられるという話は聞いた事があるのではないでしょうか。

 日本銀行は、銀行券の需要に関する先行きの想定等をもとに、国立印刷局に銀行券の製造を発注しています。因みに、2019年度の発注高は一万円券が10.0億枚、五千円券が2.4億枚、千円券が17.6億枚の合計30.0億枚です。

2)貨幣―発行主体は政府

 貨幣については、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」で、製造や発行は政府が行うこと、政府は製造に関する事務を独立行政法人造幣局に行わせること、貨幣の発行は日本銀行に製造済の貨幣を交付することにより行う、と定められています(第4条)。

 そして日本銀行券には、「法貨として無制限に通用する」(日本銀行法第46条)と定められた法律があります。つまり、「日本銀行券を用いて支払いを行った場合、相手はその受取りを拒否できない」という、法貨としての「強制通用力」が規定されているのです。この法律があるからこそ日本社会において紙幣の信用が担保されている状態にあり、これによって日本円の国内の信用が担保されているのです。

信用創造(預金からお金を無限に生み出す方法)】

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 これが本日の本題です。この世に存在するお金の大部分はこの信用創造で生み出されていると言っても過言ではありません。ここが現代のお金の最重要事項の本質です。

 先ほど説明した、「内部貨幣」である金融機関預金がどのように創出されているかをご紹介します

 その方法として『信用創造』という方法があります。

 『信用創造』とは、銀行は集めた預金を元手に貸出しを行っているのではなく、銀行が貸出しの際、借り手の預金口座に貸出金相当額を入金記帳することで、銀行保有のベースマネーといった原資を事前に必要とせずに、何もないところから新たに預金通貨を生み出すことできる方法の事です。

 簡単に言えば、銀行に誰かがお金を借りた際に、この世の中のお金の総量は、誰かがお金を借りた額分だけ増えるのです。

 この「信用創造」という方法は、「当初のお金の流通量に対し何倍もの量を市場に生み出す事ができる方法であり、一般的には金融機関が「貸出」を行うことにより「信用創造」が行われるのです。

 全てのお金は造幣局によって特殊な印刷機によって刷られていると思っている人も多いのではないでしょうか。世間にある概念の多くは国民の思い込みで出来ているのです。

【信用創造の具体例】

 少しわかりにくいので例を挙げてみます。

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 前提として、仮に個人資産100万円を持っている個人①がAという銀行に資産を預けた場合を考えてみます。

 ある個人が資産として持っている100万円を預金として「銀行A」に預けるとします。この場合当然個人①の「銀行A」の通帳には100万円と記載されます。これは個人①の資産です。

個人①の資産を預けられた、銀行Aは法定準備率分(借りに1%とする)1万円を日銀(中央銀行)に預け、残り99万円を誰かに貸すことができます。

別の個人②が銀行Aに99万円を借りたとします。その際、銀行Aは借り手の使う別の銀行Bの口座に99万円と書きます。これは銀行Aの資産です。

最初に預けた人の通帳の預金は100万円のままで、当然いつでも引き出す事ができますから、この時点でA銀行の預金が199万円に増えたことになります。

・個人①さんの「銀行A」に預けた個人の預貯金100万円

・個人②さんが「銀行A」から借りて、そのお金を預けた先である別の「銀行B」に入っている99万円

◆合計=①+②=100万円+99万円=199万円

 Aさんが銀行に100万円を預けた当初、当然100万円しかこの世の中ではお金が流通していなかったのが、Bさんが借金をした後はその世界のお金の総量は199万円になっているのです。

 当然AさんもBさんも好きなタイミングで銀行からお金を引き出す事ができます。

②の借金を預かっている銀行Bは99万円の内、1%を中央銀行に預ければ、98万100円はまた別の人に貸し出せます。その98万100円の貸し出しが決まれば別の銀行Cに98万100円が新たに生み出され、またその99%をまた別の誰かに貸す事ができるのです。

 この場合その世界に存在するお金の総量は

銀行Aの資産199万円+銀行Bの資産98万100円で287万100円になるのです。

このように誰かが借金をすると世の中のお金が生み出される仕組みが『信用創造』なのです。金(Gold))による価値の裏付けが無くなった結果、このような仕組みでお金を創造することができるようになったのです。

【信用創造が無い世界はどうなるか】

 もし仮に、信用創造という仕組みが無い世界であった場合のケースを考えてみます。

前提条件は個人①の資産100万円を銀行Aに預け、別の個人②が銀行Aに99万円借金をした場合を考えてみます。

 この場合、その世界のお金の総量はAさんが預けた100万円しか無い事になります。

銀行Aに預けている個人①の預金を、A銀行は別の個人②の銀行Bに99万円貸し出してしまって移してしまっているのですから、その世界のお金100万円は

A銀行:1万円 B銀行:99万円 となるはずです。

もしこのような状況になっている場合、①の資産であるはずのA銀行の預金は、個人②がA銀行に返済を終えるまで、引き出すことができなくなるのです。

 しかしながら、現実の世界では銀行にお金を下ろしに行けばいつでも下ろせますよね。もし好きなタイミングで銀行から自分の預金が下ろせなければ、誰も銀行に預金などしなくなり銀行が不必要となるのです。

これが信用創造がもし仮にない場合のない世界です。

 しかし実際には、信用創造がされている訳です。

お金を貸し出す金融機関は、貸し出す為の元本となるお金を確保し流出させない為に、預金を預けてくれた人には「一定期間預金してくれたら金利を付ける」という条件づけを行っています。これにより、金融機関は一度に預金などのお金を引き出されることを回避しているのです。

 その後、銀行Aが個人②に貸し出したお金が返済された場合、そこには当然金利がついて返済されます。銀行Aはその利子から個人①の預金に対して支払う利子分を確保し、残った差額を銀行Aの儲けとする事ができるのです。

銀行がお金を預けてもらいたい理由は、信用創造と金利差ビジネスの為の資金の確保という事です。

 このような借金と、金利込みの返済を繰り返していく事で、当初銀行Aに預けられていたお金(=個人①の預金)の総額以上に世の中にはお金が流通していくのです。これが「信用創造」なのです。

 借金によって増えたBやCの借金によって増えた市場のお金は、借金の返済の完了と共に市場から消えて無くなります。

 しかし、借金を返す際に発生している、利子や手数料分のお金は、借金をしたタイミングから永続的に市場のお金の総量にカウントされていき、永続的に残っていきます。

即ち、お金の総量は短期的な減少があるにせよ、今のシステムが続く限り長期的には増加していくのです。これが現代の金融で行われている『信用創造』の仕組みとその作用です。

【信用創造は偶然の産物】

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 この信用創造の原理は、金と紙幣を交換できなくなったニクソンショックから生み出された偶然の産物と言われています。ニクソンショックについては前章で詳しくご紹介をいたしました。

 簡単にニクソンショック以前と以後のシステムをおさらいをします。

ニクソンショック以前の世界では金という決められた価値の裏付けがあった為、世界のお金の総量の価値は金の総量の価値とイコールの世界でした。

 しかし、現金の価値に金の裏付けが無くなった、ニクソンショック後から現在までの世界は、この信用創造を使う事によって、誰かがお金を借りる事さえすれば、お金をいくらでも生み出せる世界になったという訳です。私たちが必死に働いてい稼ごうとしているお金は、生み出せる仕組みがあるのです。

【借金は誰がするのか】

現代社会の仕組みは、誰かが借金をすれば世界のお金の総量が増えます。借金が増えればお金の総量が増え、支出が増えるのですから、所得も増え、消費が増え、また支出が増えやすくなります。経済成長を起こすのです。

その借金をする人は誰でもいいのです。例えば、私たち国民一人一人が組む住宅ローンや、車のローン、奨学金など、企業の場合は運転資金や設備投資の為の融資、なんでも良いのです。

だからメディアはあなたの借金を促すような広告を打ち続け、あたかも借金をするのは当たり前かの様に刷り込みを行うのです。金融システムを維持するために、世界はあなたに借金をして欲しいのです。

しかし、テクノロジーが進化し物に溢れるようになった昨今なかなか借金が生まれないのも事実です。単純に考えてみて下さい。戦後焼け野原で何もかもが無くなってしまった時代と今を比べた時に、借金をしなければならない状況が多いのはどちらでしょうか。当然前者です。つまり時代と共に国民や民間企業は借金をしなくなっていっているのです。

借金をする人がいなければ現在の経済システムは成り立ちません。それでは、この様な状況下で一体誰が借金をしているのでしょうか。正解は『政府』なのです。政府の借金とはなんでしょうか。そうです。『国債』です。

下の国債残高のグラフを見て下さい。昭和50年から現在まで国債残高は右肩上がりなのです。

このようにして借金を膨らませていく事で現在の金融システムはなんとか維持ができているのです。

【信用創造を利用した最強投資方法】

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 ここまでで、信用創造について学ぶ事ができたと思います。それでは私たちはこの知識をどのように有効活用をすれば良いでしょうか。

 今回は特別にお教えいたします。

 この原理から考えれば、今後借金をする人がいれば、市場に生み出されるお金を無限に増やすことが出来るのです。また時間がたてばたつほど市場に流通するお金は必ず増えていくのもほぼ確実なのです。それも上限は無く、無限に増えていきます。

 この世に存在するものは有限です。食料も衣服も、住居も。無限に増加するもの(お金)で有限の物や商品を交換し手に入れているのです。

 ここまでこれば感の良い人、頭の良い人には分かるでしょうか。このシステムが存続し続けるまで、一番有効な投資手法があります。

 それは、腐敗しにくく後世残るもの、そして価値が変化せず、需要があり、供給が著しく増えないものにお金を変える事です。それさえできれば、大方その価値は上がり続けるという事です。

■信用創造と相性の良い投資先:(金)Gold

 例えば金、がその代表例です。ニクソンショック以前の世界は金や銀が世界経済の基準でした。それだけ昔から価値がある『モノ』なのです。

金の価値がどんどん上がっているという情報を聞いたことはあるでしょうか。

金の価値が上がっているという事は、裏を返せば紙幣の価値が下がっているという事なのです。これが金価格のチャートです。信用創造というお金が増え続ける仕組みの概念があれば今後どうなりやすいかは想像しやすいのではないでしょうか。

SPDR /ゴールドシェアーズ

 50年くらいの長いスパンで価格が右肩上がりに上がっているものはこれからも価値が上がっていく可能性が極めて高いのです。

 世界経済に投資ができるインデックスファンドもその代表例です。下記は米国株価指数S&P500の株価になります。綺麗な右肩上がりです。世界経済の成長率は平均して3%程度と言われていますし、実体経済の確実な成長もあるのでしょうが、無限に増えていく貨幣自体の価値が下がっているから成長しているように考える事もできます。

S&P500推移

 反対に企業の株式は長い年月の間につぶれる可能性や衰退の可能性があるので違います。

 この概念を持つだけであなたの生涯収入は確実に上がります。

ここまでの知識だけでもお金の本質を掴む事ができたのではないでしょうか。ここまでが投資をするにあたっての大まかな概念の部分です。

次の章では具体的に投資に直結する、本質的な経済の知識をお伝えします。

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