【第四章】:バカでも必ず分かる〜インフレ・デフレ円安・円高〜

【第四章】:バカでも必ず分かる〜インフレ・デフレ円安・円高〜

これまでの章ではお金や経済の大まかな仕組みの全体像に触れてきました。全体像が掴めなければ、細かな知識は理解ができず、もちろん定着もしません。

章を進めるごとに、本質的な具体的な内容に落とし込んでいきます。

『円安』・『円高』・『インフレ』・『デフレ』と聞いて、分かっているつもりだけど意外と簡潔に明確に説明ができない人が多いのではないでしょうか。

投資をするにあたってこれらは必須の知識になり、銘柄を選ぶ基準にも使います。

■目次

  • 為替相場の仕組みと影響
  • 変わり続ける為替相場「円安・円高」
  • 為替相場の変動がもたらす影響
  • 生活に直結する物価インフレ
  • 生活に直結する物価デフレ
  • 現在の日本の状況『スタグフレーション』

【為替相場の仕組みと影響】

前章までで、現代社会は『変動相場制』という制度を取るようになり、各国の為替相場のレートが日々変動するようになった事を理解できたかと思います。

光熱費や食費、衣料品など日々の暮らしのさまざまな分野に大きな影響を与えているのが為替相場です。日本円で考えれば、日本円が相対する通貨に対し安くなれば円安、高くなれば円高になります。

この様に為替のレートが動く『変動相場制』であるが故に、この変動する為替の差益を得る事で利益を出す事もできるようになりました。

これが『外国為替証拠金取引』通称FXです。証拠金(保証金)を業者に預託する事で、主に差金決済による通貨の売買を行なう取引を言います。

このように常に日本円の強弱の変化は個人の生活や企業活動に対し様々な影響を保たらします。

【変わり続ける為替相場】

「円」を外国の通貨に換える際の交換比率が為替相場です。円やドルなど通貨間の交換比率は、需要と供給の関係で決まり、需給関係が変動すれば為替相場は変動します。

世界にはさまざまな通貨がありますが、海外でものを買うには「円」を外国の通貨に換えなくてはなりません。その際の交換比率が為替相場なのです。経済動向をあらわす指標として、テレビ等のニュースでは「本日の東京外国為替市場の円相場は……1ドル***円です」と報道されています。

つまり、円と外貨との交換比率は日々刻々と変動しているのです。

例えば、円を外貨に換える需要に対し、外貨を円に換える需要が多ければ、円が買われるとともに外貨が売られ、『円高』が進行します。

『米ドル』を商品と見立てると、例えば対ドルで「1ドルが120円から100円になった場合、20円、円高になった」というようにいいます。

この場合、「1ドルの価値が120円から100円に下がった」ことになるため「ドル安=円高」になったわけです。

この円安円高の概念を反対に認識してしまう人が多いので覚え方をご紹介します。

まず意識することは、世界の基軸通貨は『米ドル』であるという事です。これが世界の基準なのです。

■円安の覚え方

米ドルを1ドル得るために以前は120円かかっていたのに、今回100円で買う事ができれば安く買えたと感じる事でしょう。だから以前に比べて『円安』になったと認識して下さい。

■円高の覚え方

反対に、少し前は100円で買えていた米ドル1ドルを得るのに、今回は120円が必要であれば、米ドルを高いと感じる事でしょう。この場合は以前に比べて『円高』になったと認識をするのです。

米ドルに対して円が人気であれば『円高』に、米ドルに対して円が不人気であれば『円安』になるのです。

円やドルなど通貨間の交換比率は、需要と供給の関係で決まります。従って、需給関係が変動すれば、為替相場も変動するのです。

【為替相場の変動がもたらす影響】

これまでで円安円高の基礎的な考え方がわかったかと思います。

それではこのような為替相場の変動『円安』・『円高』のメリット・デメリットはどのような事があるでしょうか。分かりやすくまとめていきます。

■円高のメリット

円高のメリットは、円の購買力を国際的に引き上げるとともに、輸入品を通じて国内物価を引き下げる効果が期待できます。

輸入品(原油・大豆・小麦などを含む)が安く買える為、円高の時に海外の株などの資産を買う場合、お得に買えるメリットがあります。

また、輸入産業は仕入れをコストを安くする事ができますので、業績が伸びやすい傾向にあります。

例えば、2000年頃にマクドナルドのハンバーガーが60円で食べる事ができたのは円高が影響しているのです。

円高のデメリット:

日本からの輸出製品が値上がりし、日本製品の国際競争力が低下します。また、外貨建ての資産が目減りします。

つまり日本企業の多くの輸出企業の収益が落ちるので、労働者の所得が上がらず、消費が抑えられてしまい、国内の物価が下がりデフレに陥りやすくなります。

■円安のメリット:

投資をしている場合、株や海外不動産などの外貨建ての資産価値が相対的に高まります。輸出製品の海外での価格が下がって輸出産業は好調になります。

近年トヨタの業績が過去最高を記録するなどは、円安が大きく関わっています。ちなみに、1円円安に動くだけで自動車産業の業績は数億円単位で上振れするとも言われています。輸出企業が多いなどの理由から、日本株式が株高になりやすい場合もあります。

■円安のデメリット:

輸入品が高くなり、輸入に頼っているエネルギー資源と関連商品が値上がりしてしまいます。また、輸入コストが高くなり、輸入産業の業績が落ち込みやすくなります。

【生活に直結する物価『インフレーション(インフレ)』】

ここまでが円安・円高の基礎知識でした。この為替の変動に大きく左右されるのが物価です。物価にはインフレとデフレという概念が存在します。簡単にまとめていきます。

「インフレーション(インフレ)」とは物価が上がり続けて、お金の価値が下がり続けることです。

■インフレのメリット

インフレとは、好況下でモノ・サービスに対する需要が増加し、供給を上回ることで発生します。モノの価格が上がっていくため、消費者は買い物を先延ばしにせず「安いうちに買おう」という心理が働きます。そうして消費が活発になればなるほど、企業は売上が増えるため利益の改善が見込まれ、従業員の給料も上がるなど、社会にお金が循環して景気は上昇します。

■インフレのデメリット

一見すればインフレは良い面ばかりのように感じますが、デメリットもあります。それは「お金の価値が下がる」ということです。

1円の価値が下がれば、例えばコツコツ貯めてきた貯蓄の価値も下がってしまうのです。例えば3000万円の家を購入するために一生懸命3000万円を20年かけて貯めたとしても、インフレをしていた場合、20年後の家の値段が3000万円以上に跳ね上がり、買うことができなくなります。これが、物価が上昇しお金の価値が下がってしまう(インフレ)したということです。

これをインフレリスクといい、特に現金や固定金利の定期預金、債券などはインフレリスクに弱い側面を持っているので、きちんと理解しておくことが重要です。

【生活に直結する物価『デフレーション(デフレ)』】

■デフレのメリット

デフレは物価が下がり、お金の価値が上がる事を言います。

デフレはその国の経済という視点では、基本的には良い事はほとんどありませんが、唯一のメリットはその国の通貨価値が上がり、資産価値が上がるという事です。

資産を日本円で大量に持っている資産家などは、デフレ下では資産価値を勝手に増やす事ができます。

■デフレのデメリット

デフレは、不況下でモノやサービスに対する需要が減少し、供給を下回ることで発生します。物価が下がる、即ちモノの価格が安くなる『デフレ』においては、消費者は「もう少し待てばさらに安くなるのではないか」「もう少しお金に余裕があるときに買おう」など、買い控えの心理が働くため、どんどんモノが売れにくくなります。

また、国内を市場としている企業は売上が上がらず、「利益の減少にともなって従業員への報酬を減らす」「設備投資を抑える」などの対策をとるため社会にお金が回らなくなり、景気が悪化してしまいます。

これをデフレスパイラルと呼び、その国は不況になります。

また、物価が下がることでお金の価値が上がります。借入をしている人にとっては借りた当初よりも1円の価値が上がってしまうため、より返済に苦労することになるのです。

現在の日本の状況『スタグフレーション』

現在の日本はインフレでしょうか、もしくはデフレでしょうか。どちらとも言えないのが現在の日本です。この日本の現状を説明できる経済現象として『スタグフレーション』があります。

スタグフレーションとは、景気が後退しているにも関わらず、インフレが同時進行してしまう現象です。「不況下のインフレ」ともいえます。インフレで物価が上がり続けているのに、景気は低迷してお金の価値も下がってしまうという極めて厳しい経済状況です。

通常、景気の停滞によって需要が落ち込めばデフレとなりますが、例えば外部要因による原油価格の高騰など、原材料などの価格上昇などをきっかけに、不景気なのに物価は上昇するという事があります。1970年代のオイルショックがまさにそれです。

景気悪化でデフレ必至に思えるポストコロナにおいても、輸入価格の高騰や物流コスト増大など、多くのインフレ要因が存在しています。それに加えて、ウクライナとロシアの戦争によるウクライナ危機が勃発し、資源の供給が減り資源価格は既に大きく上昇をしているのです。

このように明らかに物価は上昇しているにも関わらず、国民の所得は減っているのです。このような状況はスタグフレーションと呼べるのではないでしょうか。

この場合の対策方法は労働収入以外で収入を上げるための副業に取り組んでいく事は必須です。外貨を稼げるような副業ができれば特に優位性が出ます。

また、収入の一部を資産運用に充てて、早めに資産形成に取り組む事をお勧めします。インフレ・スタグフレーションが止まらない場合、日本円のみで資産を持っている場合、資産価値は減少するしかありません。資産を守るという意味でも投資は欠かせないモノなのです。

次の章では、長期資産運用について具体的な方法をお伝えします。

日本人トレーダー投資家コミュニティ参加はこちらへ

お金の勉強カテゴリの最新記事

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。