【知らなきゃヤバいお金の歴史】 ニクソンショックと固定相場制〜お金の有り方は変化する〜

【知らなきゃヤバいお金の歴史】 ニクソンショックと固定相場制〜お金の有り方は変化する〜

 皆さんは金のために働いている人が殆どであると思います。当然ですよね。現代社会においてお金さえあれば、欲しい物はほとんど買えますし足りないものはお金で解決できるような社会システムになっているのも事実です。

 多くの人は、雇われて固定の給料を得て、ローンを借りて家を買い、その金利を含めたローンの返済と生活に追われて、返し終わった時には気づけば自分は老人になっています。多くの人がこのようなフローの中で一生を終える、このモデルはお金の奴隷になっていると同意であると私は思っています。

 日本人はファイナンスの知識のある人がとても少ないのが現状です。義務教育ではもちろん習いません。しかしこのお金の知識は、投資やビジネスを行う際にはとても重要なのです。

 本日は現代の金融システムになったきっかけ『ニクソンショック』についてと現在の貨幣制度『変動相場制』と過去の貨幣制度『固定相場制(金本位制)』について学べる内容となっております。

 この知識を得る事で今までのお金への考え方が変わりますし、歴史を知る事で今後次々と起こるであろうトラブルへの対策やリスクヘッジの方法を考える事が出来るようになります。

 ■目次

  • 金融システムが一変したきっかけニクソンショック
  • ブレトンウッズ体制とは
  • ブレトンウッズ体制の問題点
  • ニクソンショック・ドル危機に至った背景と意図
  • 日本のニクソンショックの影響
  • まとめ

【金融システムが一変したきっかけニクソンショック】

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 皆さんはニクソンショックという歴史的大事件をご存じでしょうか。おそらく現代史で一度くらい聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。このニクソンショックは現代の貨幣制度が始まる事になった何よりも重要な大事件という事をご存じでしょうか。

 現在の日本の金融システムは変動相場制と呼ばれる制度を採用しています。この変動相場制になったきっかけがこのニクソンショックなのです。

 率直な意見を言うと、日本に生まれて、資本主義経済の世界で生きている人の中でこの大事件を知らない人はまじでヤバイと思います。金融の歴史の中で一番重要な大事件であると私は考えています。

◆ニクソンショックとは:

 『ニクソンショック』は、『ドル=ショック』『ドル危機』とも呼ばれています。
 1971年8月15日、当時の米大統領リチャード・ニクソンが発表したドルと金の交換停止などの措置を発表し、市場が大混乱し、世界秩序が激変したとされる出来事です。それによってドルを基軸とした国際通貨制度が大きく動揺しました。 

 まず大前提として認識をしておいて欲しい事は、このニクソンショックが発表される前の世界は、金と交換できる唯一の通貨は、数ある全世界の通貨の中でアメリカの米ドルだけであったと言う事です。

 もともとニクソンショック以前のアメリカでは、通貨ドルを銀行に持っていくとレートに基づく「金」と交換(兌換)してくれる、という仕組みがありました。この金と米ドル紙幣が必ず交換できると言う仕組みのおかげでアメリカドルの価値が担保されていました。アメリカドルは金による裏付けによって信用があったのです。

 米ドルが基軸通貨としてIMF(国際通貨基金)を支えてきたこのアメリカの米ドルが金と交換できる体制を『ブレトン・ウッズ体制』と呼んでいました。

 このような金と米ドルとの固定レートによる信用があった貨幣制度が当たり前であった世界において、当時のニクソン大統領は、金と米ドルの兌換を停止すると言ったのです。この発表はとてつもなくインパクトのある出来事でした。

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【ブレトンウッズ体制とは】

 ブレトンウッズ体制についてもう少し深ぼっていきます。

 ブレトンウッズ体制とは、第二次大戦後に米国を中心に作られた、為替相場安定のメカニズムの事です。1944年、米国にあるブレトンウッズホテルに連合国の代表が集まって決められたので、「ブレトンウッズ体制」と呼ばれています。


 これは、第二次大戦の勃発の原因であった、為替相場切り下げ競争の再発を防ぎ、戦後の復興に欠かせない貿易の円滑な発展のための決済システムを作ろうというものです。基本的には、戦前の金を国際決済手段とする金本位制への回帰ですが、過去と異なる点は、各国通貨と米ドルの交換比率を固定し、ドルだけが金と交換比率を固定するという、ドルを間に挟んだ金本位制です。これを金・ドル本位制と呼ぶこともあります。

 金とドルの相場を固定し、ドルと各国通貨の相場を固定するということは、戦前の金融体制である、金本位制と実質的には同じと思われるかもしれません。違いとしては、金本位制では各国間の決済が原則的には金で行われていたのに対し、金ドル本位制ではドルで行われたと言う点です。


 今まで貿易で使われていた金から、アメリカの米ドルを国債基軸通貨にする為には、米ドルの各国共通の信用が必要でした。そこで、米ドルと金を唯一固定レートで兌換できる通貨とする事で世界で共通で使う取引の媒体を、金からドルへ移行させていったのです。

【ブレトンウッズ体制の問題点】

 しかし、ここでこのブレトンウッズ体制の金ドル本意性に致命的な問題が発生します。金の量が増える(採掘)スピードに対し、経済回復と経済成長につれてドルの増えるスピードが早すぎて、その二つの価値に、大きな乖離が生まれていったのです。

 増えにくい金を担保にしている米ドルがどんどん増刷されるという矛盾、時代が進むにつれどんどん露呈したのです。これに気が付いた人から、米ドルを金に変えていきました。金を保有していた方が米ドルを持っているよりも資産価値が大きく上がるのですから。

【ニクソンショック・ドル危機に至った背景と意図】
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 前述までがブレトンウッズ体制についてですが、この体制が崩壊に至った背景と、ニクソンショックをアメリカが引き起こした意図には何があったのでしょうか。

 現代社会の金融体制は変動相場制をとっている事はご存知ですよね?2国間の為替のレート、例えばドル/円のレートは1ドル100円になったり120円になったりして日々変動をしています。このように2国間の通貨の需給によって価格が変動していく金融体制を変動相場制と呼びます。

 対して、このニクソンショック(ドル危機)より前のブレトンウッズ体制下(固定相場制・金ドル本意制)の為替レートは固定され全く変動しない世界でした。

 ニクソンショック(ドル危機)に至るまで 第二次世界大戦後の1950年代は、ヨーロッパ各国や日本は第二次世界大戦からの復興の為に輸入超過が続き、ドル不足の状況でした。

 しかし60年代にはヨーロッパや日本の経済が復興を遂げ産業が活発化し出すと、アメリカへの輸出を増加させていく事で、各国ともドル不足を解消し、むしろドル過剰の状況となりました。

 それだけでなく、アメリカはロシアとの冷戦による軍事費の増大や、当時の大方の予想よりも長引いてしまったベトナム戦争の戦費が大きな負担となり輸入が増え対外負債が増加すると言うトリプルパンチ以上のものを食らって経済大打撃を受けたのです。

 現在のドル/円のレートは1ドル約108円です。当時のブレトンウッズ体制下のドル/円の相場は1ドル360円でした。

 当時とは時代背景や2国間の力関係が全く違いますので一概に比較はできませんが、単純に今の3倍以上円安と言う事になります。当時のアメリカ市場には激安の日本製製品が多く流入しそれは飛ぶように売れ、アメリカ国内産業はその価格差によって大打撃を受けたのです。この時期に大きく成長したのが今の日本のTOYOTAなどの大手カーメーカーや大手家電メーカー達でした。

 このようにして経済成長と共に、基軸通貨である米ドルを獲得していった日本とヨーロッパを始めとした各国は、獲得した米ドルをアメリカの金と交換(兌換)し自国へ持って帰った為、この流出と共にアメリカの金保有高は急速に激減していったのです。

 戦後、アメリカが大量に金を所有していた裏付けがあってこそ米ドルを基軸通貨とするブレトンウッズ体制が成り立っていたのに、アメリカ以外の諸外国の経済成長に反比例し、金ドル本位制の維持が出来なくなっていったのです。

 そして、所有していた金の大量流出にアメリカが耐えきれなくなった結果、当時のアメリカの大統領であるニクソン氏が金と米ドルの固定レートでの交換の廃止を発表したのです。

 これによって金価格と円の価格が高騰し、米ドルの価値が暴落したのです。下のグラフはドル/金の価格推移のチャートです。1971年まではほぼ横ばいですが、1973年頃から一気に暴騰しているのが分かるでしょうか。

 このことをニクソンショック(ドル危機)と呼び、これこそがその背景と意図なのです。

 これを簡単にまとめると、

■ドルの金交換に応じられないほど米国の金保有量が減ったことにより、

■戦後の金とドルを中心とした通貨体制の維持が出来なくなったという事です。

【日本のニクソンショックの影響】
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 当時の日本の立場からみた場合も考えてみます。

 当時のブレトンウッズ体制下において、固定為替制度の1ドル350円という超円安によって支えられていた輸出産業を軸とした日本の経済成長が、アメリカの一方的なドル切り下げにより、大きく動揺し、高度経済成長の時代から低成長時代に転換を余儀なくされました。

 これ以後の日本は変動為替制で円高・円安に一喜一憂しながら、国内産業の生産基盤の転換を図らなければならなくなったのです。

 戦後の日本経済は輸出企業特に物づくり企業が支えていると言っても過言ではありあせん。現代社会においても円安になると輸出企業の業績が好調になるという話を聞いたことがあると思います。

 円安になれば、国内で製造した輸出製品を、海外市場に安く提供でき、外国企業と比較した時に競争力が増し、物が売れて業績が上がり外貨を獲得できるという点でそのような事が言われています。

 2021年5月現在の為替レートは1ドル108円前後です。当時のブレトンウッズ体制時の為替レートは1ドル350円ですので、アメリカ市場で出回る日本車の価格は現在の1/3ぐらいだったという感覚でしょうか。(当時の生産能力の差や製造コストの違いなどは全く考慮しておりません)

 私たちが中国産やバングラデッシュ、ベトナム製造の安い衣料品を買う感覚と全く同様です。

 このような、諸外国の発展により、アメリカ経済にとってデメリットになってしまった体制(ブレトンウッズ体制)をアメリカは是正したかったのではないでしょうか。

【まとめ】

 このような流れと背景から、ニクソンショックにより世界経済は金ドル本位制の固定相場から、変動相場制に移行していきます。

 1976年1月にジャマイカのキングストンで開催されたIMF暫定委員会で変動相場制が承認され、これをキングストン体制というようになりました。

 このような流れの中で、ニクソンショックや様々な背景や影響により固定相場制から現在の変動相場制に変化していったのです。

 次回の記事では変動相場制について詳しく記事を書いていきます

 このように世界の通貨システムは時代によって大きく変化しているのです。そしてこれは私自身の考えですが、この資本主義経済と、変動相場制は遅かれ早かれ変革されると考えております。

 需要と供給と借金で成り立っている現代社会の変動相場制にも、ニクソンショックが起こる寸前のように無理が来ているのは確実です。

 また、今や仮想通貨やブロックチェーンなどのテクノロジーの進化により大きく時代が変わり、現代社会においての金融のあり方自体が変革の時代に差し掛かっていると私は考えています。

 その理由につきましては過去の記事を読んで貰えばなんとなくご理解いただけるのではないでしょうか。

 私がなぜこのようなお金の知識を発信しているかを考えて下さい。この世界の動きはお金の動きです。世界の歴史を知る事が出来れば投資を含め見えるものが大きく変わります。是非この世界の金融を理解してみて下さい。自分たちが当たり前であると思っている事象の見え方が180度変わります。

 これからも一人でも多くの人の気づきや学びになるような記事を書いていきます。

 それではまた!

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ではまた!

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