【テンバガーの見つけ方】 割安株を見つけるスクリーニングの技術と指標まとめ

【テンバガーの見つけ方】 割安株を見つけるスクリーニングの技術と指標まとめ

 一度個別株買い、放置するだけで”値上がり益”に加えて、”配当金””株主優待”が受け取れるという魅力を持つ株を『割安株』と言います。この『割安株』を見つける事ができれば、資産を増やしていく事も少し簡単になるのではないでしょうか。

 「割安株」は「バリュー株」とも言われていますが、これを見つけるのは至難
の技ですし簡単な事ではありません。

 日本株で3,860社、ニューヨーク証券取引所とナスダック市場の上場企業数はそれぞれ2,873社、2,847社米国株で約3500社が上場しており、膨大な銘柄の数があります。この中から、大化け株や割安な成長株を選び出すのは、運が大きく関わる物ですが、全くの当てずっぽうでは恐らく難しいと思います。

 今回は割安株を見つける為の銘柄の絞る方法(スクリーニング)について記事を書いていきます。

 今回の記事を読めば、全くの知識がない状態の人に比べて、割安銘柄を見つけ出す可能性と個別株への投資の期待値を引き上げる事ができます。

 その他にPERやPBR、ROEなどといった株式投資でよく使う指標が何か、またそれをどの様使えば割安株かどうか判断できるかを全くの初心者でも理解する事ができます。

 前回と前々回の記事も併せて読む事で今回の割安銘柄のスクリーニング方法をより深く理解できる様になりますので、是非事前に読んでみてください。

 

■目次

  • 個別株のスクリーニングとは
  • 割安な成長株・大化け株を見つけるスクリーニング条件
  • 割安株を見つける為にお勧めの5つの条件
  • 条件①PER :PER15倍以下 
  • 条件②PBR  ➡︎ PBRが1倍未満
  • 条件③:自己資本比率 ➡︎ 40〜50%以上
  • 条件④:配当利回り ➡︎ 3%以上
  • 条件⑤ROE(株主資本利益率)➡︎5%以上
  • まとめ

【個別株のスクリーニングとは】

 割安な成長株を見つけ為に絞り込んでいく作業を株のスクリーニングと言います。中長期の個別株式投資で稼げるかどうかは、銘柄選びと売買のタイミングでほぼ100%決まります。そのため、このスクリーニングの正しい知識や条件を知る事さえできれば、割安株に投資するバリュー投資を成功させる確率を上げる事ができるのです。

 簡単に言えば、株のスクリーニングとは、ひとことで言うと”銘柄をふるいにかけること”です。

 このふるいの掛け方は色々な方法があり、具体的には株式市場に上場する約3,500社の中から「配当金が多い株式」「20万円以内で買える株式」といった様々な条件をつけて、銘柄を絞り込んでいく事ができます。

 スクリーニングを使えば、膨大な数の銘柄から欲しい株をひとつひとつ探す手間を省き、条件にあった株だけを誰でも簡単に選出する事が可能です。

 このスクリーニングツールやサイトは、無料で何度でも利用できるものが殆どで、自由な条件で銘柄を発掘できることから初心者からプロに至るまで、すべての投資家にとって欠かせない銘柄選定の方法になっています。

 このスクリーニングを使う事で、割安株、バリュー株を見つけ出す確率を上げていく事ができるのです。

【割安な成長株・大化け株を見つけるスクリーニング条件】
Photo by Olya Kobruseva on Pexels.com

 株価を大きく上昇する大化けが期待できる割安な成長株を見つけるには、企業の

業績』 ・『財務状況』 ・『割安度』

を示す指標の、大きく三つの要素をスクリーニングの条件に組み込んでいけば選択の可能性を上げる事ができます。

 また、私が株式の購入をする絶対条件に、その株を購入する企業の業界の市場のキャパシティが5年から10年、20年後に市場の拡大の可能性が高い業界であるかどうかがあります。

 例えば、日本でのみ行っている外食チェーンの上場企業には私は絶対に投資はしません。日本人の人口は現在減少傾向であり、どれだけその企業が優秀で同業他社に勝っていたとしても、将来的に日本人が食べる総数は確実に減るのであって必要とされる外食チェーンも将来的には減ると見込んでいるからです。

 市場が将来的に縮小する業界の企業は同業他社との牌の取り合いになってしまう為ジリ貧になって業績を上げていく事の難易度がとても高いのです。

 将来的に”成長性“のある市場にビジネスを展開しているかは大きな鍵となると私は考えています。

 『業績』・『財務状況』・『割安度』・『成長業界』というこの条件を含む銘柄で、まだ他の投資家に多くは目を付けられておらず、好調な業績にも関わらず割安な株価で放置されていつ株は中長期的に右肩上がりの上昇を描いていく可能性が多くあります。

◆割安株の実例:キーエンス

  実際に、割安な状態で放置されていた成長株がどれほどの株価上昇を見せたのかを見てみます。BtoB企業の代表格であり、年収が高い事で知られ、現在では日本の時価総額で見てもトップクラスのキーエンス(6861)ですが割安時に買っていたらどうなっていたのでしょうか。

画像1

  キーエンスは、1991年から2011年ごろまでの約20年間は8,100円ほどの株価でしたが、2020年5月には44,000円にまで上昇しており、長きにわたって見事な右肩上がりのチャートを描いています。
 もし、2011年に割安な株価だった事をもし見抜き100株購入し、2020年5月保有し売却した場合、

・購入金額(2011年) :8,100円×100株=810,000円
・売却金額(2020年):44,000円×100株=4,400,000円
・4,400,000円-810,000円=3,590,000円

  たった100株を購入しているだけで、3,590,000円もの利益を得られた計算になります。そして、キーエンスのように割安な成長株・大化け株を見つけるためのスクリーニング条件には、以下の要素を見抜く事が必要です。

◆市場からの注目度が低く、割安な株価
◆業績が好調で今後の成長が期待できる

 こういった条件を満たす銘柄を見つける為に、スクリーニングでPERやPBR、ROEなどの指標を用います。

 その他にも「配当利回り」・「自己資本比率」等といった、様々な視点による複合的な企業分析が必要となってきます。

 今回は、様々な指標がある中で、割安株を見つける為に必要なスクリーニング条件を5つに絞って紹介します。

 

【条件①:PER  ➡︎ PER15倍以下
Photo by Tara Winstead on Pexels.com

 ◆PER(株価収益率):

 PER(株価収益率)とは、現在の株価が1株あたりの当期純利益(EPS)の何倍になっているかを意味する指標です。

 計算式:  PER(株価収益率)= 株価 ÷ EPS(1株あたりの当期純利益)

 即ちPER(株価収益率)が指し示す事は、現在の企業価値は当期純利益の何倍ぐらいであると市場に判断されているかが示されています。

 PERが20倍の企業であれば、当期純利益に対し20倍程度の利益将来産む事ができると市場に判断されている企業となります。

 このPERの数値が高ければ多く買われていて期待されている企業、低ければあまり買われていない期待が低い企業という事を表します。お買い得な状態で放置されている割安株を見つける為に使う事ができます。

 例えば、同じ業界の同じ様な規模の会社でEPSが500円、株価が5,000円のA企業とEPSが200円、株価が4,000円のB企業があったとして、どちらが割安か?を判断するためにPERを計算すると、

A企業:PER=5,000円 ÷ 500円 = 10倍
B企業:PER=4,000円 ÷ 200円 = 20倍

 つまり、A企業は1株あたり利益の10倍の株価、B企業は1株あたり利益の20倍の株価で売られているため、B企業より、がA企業の方が割安と言えます。このように、PERを比較することで、どちらの銘柄がよりお買い得か?が簡単にわかります。

 ちなみに、東証一部上場企業株の平均PERが約15倍と言われていおり、株の割安度の目安はPER15倍以下となっております。

 しかし一概にPERが低いから伸びる会社というわけでは決して無いので要注意です。
また、PERの目安は業界によっても全く違います。業界の中で一番PERが高い企業は空運業界で平均は119.3、PERが一番低い業界は銀行業界で9.66です。(2021年5月17日現在)

 この様に業界によってPERの平均値も全く異なりますので、それを加味したPERの指標と共に財務分析をする事でその会社の財務状況を見極める事をお勧めします。

※割安株の条件:PERが15倍以下

【条件②PBR  ➡︎ PBRが1倍未満

◆PBR(株価純資産倍率):

 PBRとは会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。

 PBR(株価純資産倍率)は前述したPERと合わせて株の割安度を比較するために用いられ、株価が1株あたりの純資産の何倍になっているかを意味する指標です。

計算式: PBR(株価純資産)= 株価 ÷ BPS(1株あたり純資産)

                   = 時価総額 ÷ 純資産

(= PER × ROE(自己資本利益率))

 PBRという指標からは、投資した企業がもし仮に現時点で解散した際に、株を購入している投資家の元にいくら返って来るかが分かります。

 例えば、もしPBR<1で現在の株価が1000円である企業Aが突如解散した場合、そのA社の株を所有している投資家は、1000円そっくりそのまま返って来ます。

◆PBRの基準

 基本的にPBRは、企業価値=株価 となる1倍が純資産に対し株価が同じである為基準とされており、

 PBRが1倍を下回っている場合、企業の資産を加味した価値に対して現在の株価が安いと考える事ができます。

 しかしながら、PBR1倍以下は割安株と認識できる反面、PBR1倍以下の企業は市場から全く期待をされていない企業でもあります。

 その企業のPBRが1倍以下である原因が、赤字や業績悪化による場合には財務内容の悪化を受けて、市場がその企業の将来性を不安視している可能性が高いのです。

 PBRの指標だけを見て割安かどうかを判断するのでは無く、四季報やHPにあるIR情報で中長期の業績を見て、赤字の原因、業績悪化につながった事故・事件などを把握した上で割安と判断する事をお勧めします。

 これらを含めて、このPBRを使って割安株を探す場合私は、

・業績が好調(もしくは突発的な不調) かつ PBRが1倍以下

という2点の基準を必ずセットにして銘柄選定を行っています。私はこの様な企業こそが割安企業と判断できると確信しています。

割安株の条件:PBRが1倍未満かつ業績が好調である

条件③:自己資本比率 ➡︎ 40〜50%以上

 ◆自己資本比率

 自己資本比率とは、企業の総資産に対しての返済不要の自己資本の割合を表す指標です。

計算式: 自己資本 ÷ 総資本(自己資本+他人資本)

 そもそも自己資本は、株主から集めた資金や会社の純資産を指し、返済する必要がありません。

 自己資本比率が小さければ小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っている事となり、会社の独立性に不安が生じます。

 自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。

◆自己資本比率平均と基準

 一般的に自己資本比率が70%以上なら理想的な健全な企業、40%以上なら倒産しにくい企業といいます。

 経営指標のデータの自己資本比率の平均は

・赤字企業:-4% ・黒字企業:27% ・優良企業(黒字企業中上位15%):53%

となっています。

 これらを考慮すると、自己資本比率が40%〜50%以上の企業は投資家から財務が健全で倒産するリスクが市場平均に比べて小さいと見る事ができる為、自己資本比率が高いと株価上昇の要因になり易いのです。

※割安株の条件:自己資本比率40%以上

【条件④:配当利回り ➡︎ 3%以上
Photo by Anna Nekrashevich on Pexels.com

◆配当利回り

 配当利回りとは、購入した株に対して投資家が1年間でどれだけの配当金を受け取れるのかを示す指標です。配当金とは、企業が利益を出した際、利益の一部を株主に還元するお金を表しており、株を保有している間は安定的に受け取ることができます。

 配当利回りが高い銘柄は、短期の売買は全くせず配当(インカムゲイン)目当てだけの長期保有をする投資家の割合が普通の株に比べて高い為、株価の下落が起こりにくく、投資家からの買い注文が集まった際には株価が安定して大きく上昇しやすいのが特徴です。

 配当利回りが高いという事は、単純にインカムを得られるだけで無く、株価が下落しにくいという株式投資にとってとても魅力的なメリットも併せ持っているのです。

◆配当利回り平均と基準

 日経平均株価の平均配当利回は1.91%、東証一部の銘柄の平均配当利回りで2.14%です。

 この平均を大きく超える配当利回り3%以上の配当利回りである事は割安株を絞り込む上でとても有効な指標となります。

※割安株の条件:配当利回り3%以上

【条件⑤ROE(株主資本利益率)➡︎5%以上

 ◆ROEとは

 ROEとは株主資本利益率の事で、自己資本が企業の収益にどれだけ繋がったのかを示しており、企業の収益性を計る指標の事です。

 前回の記事でROEについて詳しく書いていますの是非読んでみて下さい

【あなたの選んだ企業は大丈夫?財務指標分析が理解できれば人生の選択を良好にできる】

 ROEが高いと、企業が投資家から集めたお金を効率よく使って、収益に結びつけられていると判断でき、投資家にとって経営が上手な企業と見られる事から株価が上昇しやすい傾向にあります。

 計算式:       ROE(%)= 当期純利益 ➗ 株主資本 ×100

             =売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ

◆ROEの平均と基準

 ROEの平均は国によって様々ですが、下の様になります。

  • 米国の上場企業平均:18.4%
  • 欧州の上場企業平均:11.9%
  • 日本の上場企業平均:9.4%

 標準的な企業のROEが3%〜5%です。

 これらを踏まえて、日本の上場企業の場合目安はROE10%以上、米国上場企業の場合ROE20%以上であれば収益性においては優良企業と判断して良いでしょう。

※割安株の条件:日本の上場株式=ROE10%以上・米国上場企業=ROE20%以上

【まとめ】

 以上が、バリュー株、急成長株の見つけるポイントになります。

 今回の記事の様な全ての条件に該当する企業はほとんどありません。これらの中から臨機応変に条件を組み合わせたり、他の条件を組み合わせる事をお勧めします。

 例えばPBR<1かつROE>15%という条件でスクリーニングすれば、収益性が高いのに対し、現在の株価が純資産に対し割安の銘柄に絞る事ができます。

 この様に自身の投資の指針に合った企業をスクリーニングできれば株式投資で得られる期待リターンの期待値を上げていく事が可能です。

 私の投資先の選ぶ方法が上記の他に、財務指標と業界の動向を加味し銘柄を決定し、買うタイミングをテクニカル分析で測ります。テクニカル分析についてはまた別の記事を書いていきます。

 最近ではコロナウイルスの影響で株価が暴落した背景もあり、割安なバリュー株が増えているのは紛れもない事実です。ぜひこの知識をもとに投資を行ってみて下さい。

 大量にある投資先の中から銘柄を見つけるのは難しい事ですが、これらが能力としてスムーズに行える様になると、様々な視点が変わりあなたのビジネスにも必ずプラスに働く事でしょう。

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ではまた!

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